精神科救急・急性期医療の経費

健康保険限度額適用認定証の利用

高額療養費制度を利用するとはいえ、会計窓口での負担は毎月30万円をこえてしまいます。払いもどされるまでには3ヵ月以上かかるといわれ、家計に大きな負担がかかります。そこで、健康保険限度額適用認定証(以下、適用認定証)を活用し、高額療養費の手続きを簡単にしておくことをおすすめします。

先ほどの例でいえば、適用認定証を会計窓口に提示すると、後日、払いもどされるぶんの22万9970円を会計窓口であらかじめ差し引きますので、窓口では自己負担限度額の8万8030円を支払うだけですみます。

適用認定証は市役所などへ申請することで取得できます。適用認定証は、精神科救急病院などに入院してから申請・取得しても、入院日にさかのぼって自己負担の限度額を適用できますが、事前に申請・取得しておくことで、いざというときに安心して医療にかかることができます。ただし、適用認定証は申請しただけでは利用できません。保険証を1ヵ月に1度、会計窓口へ提示するのと同じように適用認定証を病院の会計窓口に提示することで利用できます。

申請後、適用認定証がお手元に届いたら必ず、病院の会計窓口に提示するようにしてください。また、適用認定証は1年に1度更新手続きがありますので、忘れずに更新することもたいせつです。

保険料滞納についての相談

国民健康保険(社会保険)の保険料を滞納している人は、適用認定証が取得できなかったり、保険診療について10割負担となる可能性があったりします。入院時に担当の精神保健福祉士などに相談し、いっしょに解決の道を探してください。

入院後でも、滞納分の保険料を納めれば、入院した日にさかのぼって3割の自己負担で保険診療が受けられるようになりますし、滞納がなくなれば適用認定証も取得できます。

生活保護の受給

生活保護を受給している人が入院した場合、医療費と食費は生活保護費として支払われますので、これらの自己負担はありません。ただし、日用品、嗜好品などの費用は会計窓口で支払うことになります。

入院時に生活保護を受給していなくても、入院によって仕事と収入を失い、貯金もないなどさまざまな理由で経済的に困窮し、入院費用が支払えない場合は、入院中に生活保護を申請し、受給することができます。

入院中に生活保護を申請し、受給が決定したら、申請日にさかのぼって生活保護が受けられますので、医療費と食費は生活保護費から支払われます。ただし入院日から申請日までのあいだにかかった費用については本人や家族が支払わなければなりませんので、入院時にできるだけ早く、担当の精神保健福祉士などと相談し、入院日に申請しておくといいでしょう。

不安に思ったら相談を

精神疾患によって入院すると一家の大黒柱が働けなくなり、収入の道が閉ざされる、あるいは、入院にかかるお金を支払うことで、家族の生活が苦しくなることがあります。

精神科病院では、こうした家族からの生活相談も精神保健福祉士(PSWを含む)などが受け、福祉行政と連携するといった対応も行っています。家族が経済的に安定することで入院中の患者さんも安心できます。

「家族のことだから」と抱えこまず、気軽に専門の医療スタッフに相談してください。

~精神科救急病棟と精神科急性期治療病棟の医療費~

保険診療による医療費は、国が診療報酬という形で決めており、精神科救急病棟や急性期治療病棟の入院医療費についても同様です。

精神科救急病棟は、病院によって、精神科救急入院料1を算定している場合と精神科救急入院料2を算定している場合があり、それぞれ入院初日から30日以内と31日以上から90日以内とで1日あたりの入院料が異なります。精神科急性期治療病棟についても同様です。

この入院料には、精神科救急・急性期医療で、おおむね標準化されている検査や投薬、画像診断、病理診断などの費用は含まれますが、入院精神療法や作業療法といった精神科専門療法、麻酔、放射線治療、精神科退院指導料など、別途加算される費用などもありますので、医療費の総額は、受けた治療の種類や回数などによって変わってきます。

そのため、3ヵ月間の入院のうち、医療費は最初の1ヵ月間は2~3ヵ月目よりも高くなる傾向にあり、1ヵ月あたりに平均化すると、精神科救急病棟の場合でおおむね106万円前後、精神科急性期治療病棟の場合でおおむね65万円前後といわれています。

また、精神科救急病棟や精神科急性期治療病棟では、精神一般病棟など通常の入院治療より、マンパワーが必要となるため、医師や看護師などを多く配置するよう決められています。

※別途加算される治療方法によっては、上記と金額が大きく異なることがあります。

精神科救急入院料と急性期治療病棟入院料

精神科救急入院料1 精神科救急入院料2 精神科急性期治療病棟入院料1 精神科急性期治療病棟入院料2
入院日から30日以内 35,570円/1日 33,510円/1日 19,840円/1日 18,810円/1日
31日以上から90日以内 31,250円/1日 29,200円/1日 16,550円/1日 15,520円/1日