デイケアスタッフとして、作業療法士として

地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立精神医療センター デイケア科 科長
作業療法士
原沢 祐子氏

――デイケアについて教えてください。

当センターのデイケアは昭和57(1985)年から試行し、昭和61年(1989年)に本格実施しました。当初は精神科デイケアのみでしたが、現在は精神科デイケア、リワークデイケア、依存症デイケアの3つのデイケアがあります。さらには、これから認知症の予備軍の方々のためのデイケアもはじまります。登録人数は200人くらいです。参加者人数は一日70人を上限としていますが、平均的な利用者は一日40人くらいです。

スタッフは、兼務のDr(医師)2名のほか、専属のNS(看護師)2名、OT(作業療法士)3名、CP(臨床心理士)2名、PSW(精神保健福祉士)1名の計10名です。それぞれ25人くらいの利用者を担当し、ケースマネジメントを行っています。 運営に関しては、福祉医療相談科や心理科、外来などの他部署にも協力をしてもらってます。

――精神科デイケアについてはいかがですか。

精神科デイケアは、月曜日から金曜日までの週5日、9時から15時30分までのデイケアと、午前あるいは午後だけのショートケアがあります。利用者は統合失調症の方が中心です。医療観察法の通院処遇対象者も積極的に受け入れています。

デイケアがはじまった当初は20年くらい入院していた方もいらっしゃいましたが、現在は、退院促進も進んでいますので、長期入院の方は減少しています。利用者の年齢は10代から60代と幅広く、30~40歳代が中心です。

わたしたちがこころがけているのは「ほっとでき、楽しく、役に立つデイケア」です。入所してしばらくは「ほっとでき、安心して参加できること」、デイケアに慣れてきたら「楽しく活動できること」、そしてその方の今後の方向を見据えて「役に立つ」、たとえば再発防止や対人関係、就労準備などの勉強会を活用して、知識や技術を吸収していただくことです。

デイケアを有意義にすごしていただくために、1ヵ月ごとに担当スタッフと目標シートを使って振り返りを行っています。目標シートの中身は出席率やプログラムの活動状況、服薬などを基本にしたうえで、ご自身の目標に向けて必要と思われること、たとえばその方が仕事を目指している方ならば仕事の下準備として「報連相(報告、連絡、相談)をこころがける」とか、親から自立してひとり暮らしをしたいと希望している方ならばまずは家のなかでできそうなこと、たとえば「食器洗いに挑戦する」といった目標をあげていただきます。そして、その項目について月に一度、ほとんどできたら◎、半分くらいできたら○、ちょっとできたら△、できなかったら×というように、利用者自身に自己評価していただいています。それを参考に、3ヵ月、6ヵ月、さらに将来(デイケア後の生活)をどうするか、スタッフと一緒に考えていただけるように工夫しています。

原則として57歳までの方を対象に、3年を目途に就労や地域の福祉施設など、次のステップに移行できることを目指しています。といいますのも、60歳を過ぎた方のなかには、機能が低下し再入院してしまうことが多く、次のステップに移れない方もいらっしゃるからです。デイケア利用が長期化することでデイホスピタリズムをつくっている可能性もあります。「死ぬまでここのデイケアにいたい」という方もいらっしゃいます。そんな言葉を聞くととても悲しくなります。デイケアは「終の棲家」ではなく、生活者として地域でその人が活き活きとして暮らせることを目標にしていますが、おそらくそうおっしゃるのは地域移行すること、他の場所にいくことが不安だからだと思います。デイケアから地域へと安心してバトンタッチしていくのがわたしたちの役割だと思います。

また、最近は高齢化が進み社会全体として対応を迫られています。健康寿命も75歳と延びて元気なお年寄りが増えています。年金制度も改革され、60歳を過ぎても働く方が増えています。世の中が変わってきているなか、対象年齢を57歳までという原則を見直してもいいかもしれないと、個人的には思っています。

初出:『精神科医療ガイド2019』NOVA出版 2019.1より