精神科病院における「家族心理教育」の実践

~駒木野病院〜

医療法人財団青溪会 駒木野病院 サービスステーション駒木野室長
精神保健福祉士、社会福祉士
山口 多希代氏

医療法人財団青溪会 駒木野病院 看護部看護科長
精神科認定看護師
今井 正氏

■ファミリープログラム導入の経過

――駒木野病院では、家族心理教育を「ファミリープログラム」と呼んでいますが、これを立ち上げるにあたっての経緯を教えてください。

山口 「ファミリープログラム」の導入以前から一部の病棟では入院患者さんを対象にした心理教育や、SSK(サービスステーション駒木野)が主催する患者さん本人と家族が一緒に学ぶ基礎講座(いずれも病気の理解や健康・生活支援などのテーマで3~4回で1クール)、家族グループなどが行われていましたが、職員体制の変化や病棟再編などの事情で滞りがちになっていたり、会になかなかつながりきれない家族がいることを感じていました。そうした状況もあり、平成23年にSSKの講座(再編)検討プロジェクトを立ち上げることになりました。その時すでに全病棟を対象とした本人向けプログラムが実施されていたこともあり、「もう少し丁寧に家族への支援を再構築できないか」という意見が出ました。

プロジェクトではさまざまな情報を集めたりしながら検討を重ね、最終的に標準版家族心理教育プログラムを実施することにたどりつき、「ファミリープログラム」と命名しました。 少しSSKについて説明しておきます。SSKは、駒木野病院独自のもので、平成9年1月から、病院のなかにある生活支援センターをめざして多職種がかかわりながら、病院としてその時々に必要な活動を生み出すために、柔軟で横断的な院長直属の部署として誕生しました。現在は、OT、ソーシャルワーカー、看護師の3人が専従職員ですが、オープンルームの運営、院内の講座、本人・家族支援のためのグループやファミリープログラムの運営、家族や患者さん、職員への情報提供、個別支援、訪問支援や退院支援などの活動を行うほか、病院見学会や研修の受け入れ、講師派遣などの地域づくり、地域連携につながる活動も行っています。SSKには院内外の関係者と一緒になって活動をつくれるという基盤があり、ファミリープログラムも多部署・多職種チームをつくって運営しています。

――講座再編の会議では、どのようなことを話しあったのでしょうか?

今井 まず、家族に対してどういった支援が必要なのかを話しあいました。ひとつは当院がどういったサービスをしているのかがわかるようなハンドブックをつくりました。もうひとつは、効果が実証されている心理教育をやろうということを検討していきました。

心理教育をいろいろ調べてみると、「心理教育・家族教室ネットワーク(JNPF)」という組織が、「標準版・家族心理教育研修会」を開催していることがわかりましたので、これを受講しようということになりました。

最初に2人のスタッフが研修を受け、翌年には3人のスタッフが研修にいき、平成24年から試験的に家族心理教育プログラム(ファミリープログラム)を5人のスタッフではじめました。

研修では「心理教育のやり方」を教えてくれるだけではなく、できているところとできていないところを知ることができる評価表もあり、それをチェックしながら進めていくことができました。またプログラムの立ち上げ方も含めて教えてもらえ、SSKという母体があったこともあり、比較的スムーズに立ち上げられたと思います。

山口 しっかりしたものを家族に提供したいということで、いままでやってきた講座の内容を確認したり、文献をみたりしました。家族支援をもっときっちりできる方法がないかと探していくなかで、どうせやるならきちんと裏づけがあるものをやりたいということでできたのが標準版家族心理教育を基本としたファミリープログラムでした。

いわゆる「国府台モデル」で、「これだったら、みんなで取り組めそうだ」「いいものが提供できそうだ」ということで意見が一致し、研修会に参加して、議論を重ねて院内の調整をはかっていきました。

初出:『精神科医療ガイド2018』NOVA出版 2018.1より