細やかな目配りが求められる精神科高齢者看護

医療法人 尚生会 加茂病院
副看護部長
脇坂乃布氏・依藤真嗣氏

小さな変化にも敏感に

少子高齢社会の日本では入院患者さんの高齢化もすすみ、医療法人 尚生会 加茂病院(以下、当院)に入院している患者さんたちの平均年齢も60歳をこえている状況です。

当院は、昭和28年に設立された精神科単科の病院です。52,000㎡という広大な敷地に7つの病棟を備え、全402床のうち、第1病棟(精神科療養病棟)の60床は65歳以上の高齢者に割りあてられ、2015年11月現在、58名の患者さんが入院治療を受けています。

再入院や長期入院の患者さんたちが大半を占める当院ですが、高齢者にかぎっていえば、年間20名から30名ほどの新規入院患者さんたちを受け入れており、その患者さんたちは最初に精神科一般病棟(男性56床・女性58床)で治療を受け、症状が落ちついたあとは、第1病棟へ移ってさらに治療をつづけることになっています。

新規に入院治療を受ける患者さんたちのなかには、統合失調症のほか、認知症の周辺症状を呈している患者さんたちも含まれています。認知症患者さんの場合、特別養護老人ホームへの入所を考えていたものの、施設のスタッフだけでは対応しきれず当院に入院してきた方や骨折あるいは内科的な疾患の治療で一般科の病院に入院していた方も少なくありません。また、高次機能障害や脳梗塞の影響で精神症状があらわれている患者さんもいます。

統合失調症で入院する患者さんは、まったくの新規で未治療だった方もおり、薬の効きめが出やすく、暴力傾向も低いという側面がある一方、高齢でもあるため、症状にかかわらず身体的なケアやさまざまな介助を必要とします。そのため看護職のきめ細かやな目配りが欠かせません。

軽度な身体的治療であれば当院の常勤内科医が治療し、重い疾患がみつかればご家族の判断を尊重したうえで総合病院や身体科の病院へ転院をはかり、その後、症状が緩和したあとで再度当院に入院する患者さんもいます。患者さんの高齢化に伴って身体科と当院を頻繁に往復する患者さんも多くなってきています。

第1病棟の専属スタッフは、正看護師7名、准看護師3名、介護福祉士1名、看護助手10名、その他、作業療法アシスタント1名で構成され、体温、血圧、脈拍などの計測ばかりではなく、眠れないといった訴えはもとより、いつもと違う表情や何気ないひと言など、精神科領域における症状の変化も観察していかなければなりません。

一般病棟や療養病棟、あるいは病気の内容にかかわらず、病院で治療を受けつづけているたいていの患者さんは、感情の起伏が少なく、変化がみえづらいという側面があるため、看護職は小さな変化にも敏感でいなければならず、さらに、高齢の患者さんが入院する病棟では、耳鼻科、眼科、整形外科など、精神科以外の幅広い知識が求められます。当院では常勤の内科医だけではなく、総合病院などとも日頃から緊密な連携をはかり、一般科に転院する事態をできるだけ避ける予防的な看護が何よりも大切だと考えています。